肌質を整える注射は、通う回数と、変化の出方が製品ごとに違います。ボライトXCは原則1回の施術で、うるおいの改善が9か月ほど続いたと報告されていますが、スキンブースターやプロファイロは数週おきに2〜3回打つのが基本です[1][2][3]。どれがいちばん良いかを直接比べた試験はまだ少なく、目的と通いやすさで選ぶことになります[4]。
肌質を整える注射は、何が違う?
大きな違いは、中身と打ち方です。ボライトXCは、1mLあたり12mgと低い濃度のヒアルロン酸を、長持ちするようにつなぎ合わせた(架橋した)製剤です[5][1]。肌の深いところに、顔全体へ均等に少しずつ打ちます[6]。
メソセラピーは、つなぎ合わせていないヒアルロン酸やビタミンなどを、肌の浅いところにばらばらに打つ方法で、ボライトXCとは打ち方が違います[6]。ポリヌクレオチドは、魚由来のDNAのかけらを使う注射で、ボリュームを足さずに肌の質を整えることをねらいます[7]。
通う回数と持ちの目安は?
通う回数には、はっきりした差があります。ボライトXCは1回の施術が基本で、ほかの製品のように2〜4週おきに何度も通う必要がない点が違いとして挙げられています[1]。
131人の試験では、1回の施術でうるおいの改善が9か月ほど続きました[1]。頬を対象にした202人の試験でも、6か月後の再施術の時期まで、なめらかさやうるおいの改善が続いています[1]。
スキンブースター(レスチレン ビタール)は、4週おきに3回打ち、その後は6か月ごとに続けるのがすすめられています[2]。つなぎ合わせていないタイプは、効果がおだやかで短めとされます[2]。プロファイロを首に使った26人の調査では、初回と30日後の2回打ち、90日後にたるみの評価が3.08から2.12へ下がりました[3]。
それぞれの研究の確かさに違いはある?
研究の量と質には差があります。ボライトXCには、100人を超える試験が2つあります[1]。
一方で、肌質を整えるほかの製品の研究は、人数が少ない、何度も打つ必要がある、変化が出るまで時間がかかる、といった限界が指摘されています[4]。プロファイロの調査は比べる群のない26人、ポリヌクレオチドを目の下に使った報告は5人でした[3][7]。皮膚のかけらを使った実験でボライトXCが優れていたという報告もありますが、体の外での短期の結果です[8]。
自分に合うのは、どれ?
まず「何を変えたいか」で絞ると選びやすくなります。
乾燥やくすみ、つやが気になる:ボライトXCが向くとされる[1]
通う回数を少なくしたい:1回が基本のボライトXC[1]
首のたるみや肌のハリ:プロファイロの報告がある[3]
目の下の薄い肌をボリュームなしで整えたい:ポリヌクレオチドの報告がある(少数例)[7][9]
どの方法でも、頬のこけやたるみそのものは持ち上がりません。ボリュームの不足には、別の注入と組み合わせることがあります[6]。
変化の感じ方と、リスクの違いは?
肌質の注射は、見た目より「触って分かる」変化が中心です。ボライトXCでも、すぐに見える変化より、うるおいが続く感覚を目安にするよう説明されています[6]。
ボライトXCの試験では、ほとんどの人が1日以内にふだんの生活に戻っています[1]。ただしヒアルロン酸の注入では、血管に入ると皮膚が傷んだり目が見えなくなったりする重い合併症の報告があります[10]。注入のあとに強い痛みや皮膚の色の変化、見え方の異常が出たら、すぐに施術したクリニックへ連絡してください。
診察で確かめたいことは?
どれが合うかは、肌の悩みの中身、打つ場所、通える回数、ほかの治療との組み合わせで変わります。記事だけでは、自分の肌にどの方法が合うかは決められません。
診察では、使う製品の名前、通う回数と間隔、変化が出るまでの日数、腫れや内出血が出たときの対応を確かめておきましょう。
- 1Humphrey S, Ramirez S, Arreola Jáuregui IE, Choi W, Kapoor KM, Mukherjee M. Integrating VYC-12L With Energy-Based Devices for Skin-Quality Improvement: Global Expert Considerations for Safe and Effective Outcomes. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.70352
- 2Kandhari R, Chhabra C, Sakhiya J, Vedamurthy M, Aggarwal I, Desai VK, et al. An Expert Opinion on Hyaluronic Acid Fillers for Indian Facial Aesthetics: Insights From a Pre-meeting Questionnaire and Ad-Board Discussion. Cureus. 2025. doi:10.7759/cureus.94079
- 3Lam BL, Leo KW, Siew TW, Weni M, Teh SJ, Abdullah NA, et al. Patient Satisfaction Using Hybrid Cooperative Complexes of Hyaluronic Acid for Neck Laxity: A Survey of Asian Populations. Plastic and Aesthetic Nursing. 2025. doi:10.1097/PSN.0000000000000609
- 4Chiu A, Montes JR, Munavalli G, Shamban A, Chawla S, Abrams S. Improved Patient Satisfaction With Skin After Treatment of Cheek Skin Roughness and Fine Lines With VYC-12L: Participant-Reported Outcomes From a Prospective, Randomized Study. Aesthetic Surgery Journal. 2023. doi:10.1093/asj/sjad111
- 5Vachiramon V, Chirasuthat S, Boonpethkaew S, Sakpuwadol N, Yongpisarn T, Jurairattanaporn N. A Study of Combined Onabotulinumtoxin A and Hyaluronic Acid Filler for the Treatment of Enlarged Facial Pores. Toxins. 2025. doi:10.3390/toxins17010038
- 6Ogilvie P, Thulesen J, Leys C, Sykianakis D, Chantrey J, Safa M, et al. Expert Consensus on Injection Technique and Area-Specific Recommendations for the Hyaluronic Acid Dermal Filler VYC-12L to Treat Fine Cutaneous Lines. Clinical, Cosmetic and Investigational Dermatology. 2020. doi:10.2147/CCID.S239667
- 7Adel N, Gindi A, Stankovic N, Thulesen J, Kolenda J, Thulesen IV. Tear Trough Rejuvenation With Injectable Biostimulatory Polynucleotides (VAMP). Plastic and Reconstructive Surgery Global Open. 2025. doi:10.1097/GOX.0000000000007261
- 8Nakab L, Hee CK, Guetta O. Improvements in Skin Quality Biological Markers in Skin Explants Using Hyaluronic Acid Filler VYC-12L. Plastic and Reconstructive Surgery Global Open. 2020. doi:10.1097/GOX.0000000000002723
- 9Lampridou S, Bassett S, Cavallini M, Christopoulos G. The Effectiveness of Polynucleotides in Esthetic Medicine: A Systematic Review. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.16721
- 10日本美容外科学会会報 特別号(第44巻 Supplement). CQ2-2-1 顔のシワに対するヒアルロン酸製剤注入(推奨度2・弱く推奨。血管内への誤注入による皮膚壊死や失明などの重い合併症に注意).