目頭切開が向くのは、蒙古ひだ(目頭を覆う皮膚のひだ)がはっきりあって、目の横幅を内側へ広げたい人です[1]。アジアの人に多いひだの型のうち2型と3型がこの手術の対象になると、教科書は記しています[1]。逆にひだが軽い人では術式による差がはっきり出ておらず、取りすぎを戻す修正を受ける人もいるため、慎重に考える価値があります[2][3]。
蒙古ひだの強さで、何が変わる?
強いひだほど、術式の差が結果に出ます。172人を、改良したZ法(94人)と従来のZ法(78人)で比べた研究では、中等度から重度のひだで、改良法のほうが傷あとを隠せた割合が高くなりました[2]。軽度のひだでは、この差がはっきり出ていません[2]。
ひだの程度を3段階に分けて手術を計画する報告もあります。17人を軽度3人、中等度8人、重度6人に分け、二重の手術と同時に目頭を整えた研究があります[4]。傷あとを減らす方法をまとめたレビューは、Z法が最も多く報告されている術式で、軽度から重度まで戻りが少ないと整理しつつ、程度ごとの術式の優劣を調べた研究はまだ足りないと述べています[5]。
傷あとが残りやすいのは、どんな人?
皮膚が強く引っ張られる人です。目頭の傷あとの主な原因は高い張力で、皮膚と筋肉のあいだの硬い結合組織を十分に切り離して張力を抜くことが大切だと報告されています[6]。どの術式でも「傷あとゼロ」は約束できないと、172人の研究の著者も明記しています[2]。
傷あとを抑える手立ても検討されています。術後早期にボツリヌス毒素を注射すると盛り上がった傷あとを防げることが、顔の左右で比べた二重盲検の無作為化試験で示されています[7]。レビューは、盛り上がる傷あとの頻度は比較的低くなったものの、傷あとと固定糸のしこりが主な不満として残ると述べています[5]。
やりすぎになるのは、どんな場合?
ひだを取りすぎて、目頭の形が顔になじまなくなった場合です[3]。取りすぎたひだを戻す修正手術を548人のアジアの患者に行った報告があり、修正後にさらに傷あとの手直しを受けたのは6%でした[3]。修正を受けた人がこれだけいること自体が、初回で「広げれば広げるほどよい」わけではない根拠になります[3]。
反対に、切り離しが足りないと戻ります。皮膚の移動が不十分だと皮膚が引き戻され、ひだが残ると説明されています[6]。なお、目頭のあいだの距離が何ミリなら向く、という数値の基準は、今回参照した範囲では見つかりませんでした。「広げたい量」ではなく「ひだの強さ」で向き不向きを考えるのが、いまの根拠に合った見方です。
二重の手術と一緒に受ける?
組み合わせは一般的です。蒙古ひだは一重と一緒にあることが多く、目頭切開は二重の手術と組み合わせて目の横幅を広げる標準的な施術だと述べられています[4]。術式は複数あり、実際には術者の好みと経験で選ばれていると整理した報告もあります[8]。
だから、どの術式かより「なぜその術式か」を聞くほうが実りがあります。自分のひだの程度と、二重のデザインと、傷あとの出方をどう両立させるのか。この説明が具体的なら、術式名を覚える必要はありません。
満足度と戻りは、どのくらい?
満足度は術式で差が出ました。172人の研究では、とても満足が改良法で79.8%、従来のZ法で47.4%、不満は改良法で0%、従来法で6.4%でした[2]。戻りについては両群で差がなく、改良法では97.9%に戻りがなく、2.1%に軽い戻りがありました[2]。
ただし、これは6か月の時点の後ろ向きの比較です[2]。長い期間の戻りや、他の施設で同じ結果になるかは、この研究だけでは言えません。
診察で確認したい4つのこと
1つ目は、自分の蒙古ひだが軽度・中等度・重度のどれに当たるかです[1][4]。2つ目は、傷あとがどこにどう残り、盛り上がりを抑える処置を用意しているかです[6][7]。3つ目は、広げる量をどう決め、取りすぎを避ける基準を持っているかです[3]。4つ目は、二重の手術と同時に行う場合のデザインです[4]。
ひだの強さ、皮膚の厚さ、目と目の距離は人によって違います。記事だけでは、自分の目頭に手術が向くかは決められません。診察では、ひだの程度と皮膚の張りを実際に診てもらい、広げられる範囲と傷あとの見え方を、鏡を見ながら確認してください。
- 1Brow and Upper Eyelid Surgery. p.176-200(アジアの人に最も多い蒙古ひだは2型と3型で、いずれも目頭切開の対象になる)
- 2He Z, Zhang W, Yu X, Qin H, Teng J, Xie J. Comparison of Modified Asymmetric Inverse Z-plasty and Z-plasty in the Correction of Epicanthal Folds. Aesthetic Plastic Surgery. 2025. doi:10.1007/s00266-025-05282-0
- 3Ha JH, Park YO, Jin US. Revisional Medial Epicanthoplasty Using Reverse Z-Plasty Technique. Aesthetic Surgery Journal. 2022. doi:10.1093/asj/sjab091
- 4Zhang Y, Guo Z, Liu Y, Wu X, Qin C, Ma L, Li X. Medial Epicanthoplasty: A Modified Inverted Z-Plasty Technique to Create Ethnic Appropriate Medial Canthal Configuration. Aesthetic Plastic Surgery. 2026. doi:10.1007/s00266-025-05594-1
- 5Fineide FA, Allen RC, Bohman E, Tønseth KA, Utheim TP, Khan AZ. Minimizing Postoperative Scars in Epicanthoplasty: A Concise Review. Journal of Cosmetic Dermatology. 2025. doi:10.1111/jocd.70603
- 6Cao Z, Guo YQ, Tan SX, Niu CY, Wang JH, Miao CL. The Modified Rectangle Flap Epicanthoplasty: A Novel and Individualized Design. Aesthetic Plastic Surgery. 2021. doi:10.1007/s00266-019-01517-z
- 7Huang RL, Ho CK, Tremp M, Xie Y, Li Q, Zan T. Early Postoperative Application of Botulinum Toxin Type A Prevents Hypertrophic Scarring after Epicanthoplasty: A Split-Face, Double-Blind, Randomized Trial. Plastic & Reconstructive Surgery. 2019. doi:10.1097/PRS.0000000000006069
- 8Chen J, Zhang J, Xi W, Chen W, Yang F. The five-step medial epicanthoplasty: simple and standardized. BMC Ophthalmology. 2025. doi:10.1186/s12886-025-04123-7